2008年04月21日
スローリーディングの楽しみ
平野啓一郎の「スローリーディングの実践」という本を読んでいます。
できるだけたくさん読むという速読に対して、スローリーデイングとは一冊の本にできるだけ時間をかけて読み、味わうことそれ自体を楽しみにすることです。これには彼の人となりが表れていて、彼の書き方、生き方の原点が示されているようで、気に入ってしまいました。
私は今、平日昼間は家にいるので、仕事していた時に比べて本を読む時間がゆっくりとれて、とてもうれしい。で、乱読気味になっていたときに、出会ったのがこの本です。
平野さんといえば、年齢は私の一つ上で、1998年私が就職活動を始めた大学3年生のときに、彼が京大4年生で在学中に「日蝕」という作品で芥川賞を受賞した作家さん。
私は過去に一度だけ、彼と仕事をさせていただく機会がありました。
今から5年前、私が仕事を始めて4年目の年に、1年だけ営業でなく、WEBの編集企画の仕事をするチャンスがありました。その際、関西出身の著名人に、自身の人生の岐路に立ったときの経験やシュウカツ中の大学生に向けてのメッセージをもらおうという企画で、取材をさせていただきました。
この本を読みながら、その記憶がだんだんとよみがえってきました。
今だから言えますが、平野さんの作品は読んだことがなく、今でこそ、川上未映子さんや金原ひとみさんなんていう若い作家さんが芥川賞といったビッグな文芸賞を受賞するのは珍しくないですが、当時は珍しく、大学生で芥川賞受賞なんてすごいじゃん?程度のミーハーさで、取材を申し込んだのです。あーとても恥ずかしい。
実際に取材する段になって困った私は、何とか文芸、とくに平野さんのファンというライターさんをおさえて、そのライターさんと京都二条のホテルで、彼を取材することができたのです。当時は彼の三作目の「葬送」が発表された直後で、その作品についての話題で盛り上がってしまうところを抑えて、彼自身のシュウカツについての話に持って行くのが大変でした。
私にとっての彼の第一印象は「普通の人」でした。
しかし、話し始めると言葉がスルスルと滑らかに彼の口から出てきて、しかも一言一言を大切に扱っておられるのが伝わってくる、丁寧な人という印象に変わりました。まぁ私が会ったことがある作家さんは今のところ彼一人ですから、作家はみんな言葉を大切にするのかも知れませんが。
で、実際、取材の中で、彼も語っていたと思います。
就職氷河期とは言え、京大法学部ですから、銀行や大手企業で勤めることもできたと思う。そうすれば今頃は年収1000万円くらいもらえてたかもしれない。
華やかな世界を想像していたけれど、作家とは思った以上に地味で地道な職業だと、この取材のときに感じました。そして、彼の思慮深さや丁寧さがやさしさにつながっていると感じたことを思いだしました。
当時も、その後も、チャレンジしたけれど、結局読了できなかった「葬送」。これをもう一度読んでみようと思いました。私自身も、当時とはずいぶん変わっていると思うから。
できるだけたくさん読むという速読に対して、スローリーデイングとは一冊の本にできるだけ時間をかけて読み、味わうことそれ自体を楽しみにすることです。これには彼の人となりが表れていて、彼の書き方、生き方の原点が示されているようで、気に入ってしまいました。
私は今、平日昼間は家にいるので、仕事していた時に比べて本を読む時間がゆっくりとれて、とてもうれしい。で、乱読気味になっていたときに、出会ったのがこの本です。
平野さんといえば、年齢は私の一つ上で、1998年私が就職活動を始めた大学3年生のときに、彼が京大4年生で在学中に「日蝕」という作品で芥川賞を受賞した作家さん。
私は過去に一度だけ、彼と仕事をさせていただく機会がありました。
今から5年前、私が仕事を始めて4年目の年に、1年だけ営業でなく、WEBの編集企画の仕事をするチャンスがありました。その際、関西出身の著名人に、自身の人生の岐路に立ったときの経験やシュウカツ中の大学生に向けてのメッセージをもらおうという企画で、取材をさせていただきました。
この本を読みながら、その記憶がだんだんとよみがえってきました。
今だから言えますが、平野さんの作品は読んだことがなく、今でこそ、川上未映子さんや金原ひとみさんなんていう若い作家さんが芥川賞といったビッグな文芸賞を受賞するのは珍しくないですが、当時は珍しく、大学生で芥川賞受賞なんてすごいじゃん?程度のミーハーさで、取材を申し込んだのです。あーとても恥ずかしい。
実際に取材する段になって困った私は、何とか文芸、とくに平野さんのファンというライターさんをおさえて、そのライターさんと京都二条のホテルで、彼を取材することができたのです。当時は彼の三作目の「葬送」が発表された直後で、その作品についての話題で盛り上がってしまうところを抑えて、彼自身のシュウカツについての話に持って行くのが大変でした。
私にとっての彼の第一印象は「普通の人」でした。
しかし、話し始めると言葉がスルスルと滑らかに彼の口から出てきて、しかも一言一言を大切に扱っておられるのが伝わってくる、丁寧な人という印象に変わりました。まぁ私が会ったことがある作家さんは今のところ彼一人ですから、作家はみんな言葉を大切にするのかも知れませんが。
で、実際、取材の中で、彼も語っていたと思います。
就職氷河期とは言え、京大法学部ですから、銀行や大手企業で勤めることもできたと思う。そうすれば今頃は年収1000万円くらいもらえてたかもしれない。
華やかな世界を想像していたけれど、作家とは思った以上に地味で地道な職業だと、この取材のときに感じました。そして、彼の思慮深さや丁寧さがやさしさにつながっていると感じたことを思いだしました。
当時も、その後も、チャレンジしたけれど、結局読了できなかった「葬送」。これをもう一度読んでみようと思いました。私自身も、当時とはずいぶん変わっていると思うから。